帰ってきた時、青森は、時間が止まっていた。

根井さん(以下N):もともと、東京はせわしない感じがして、あまり好きではなかったんです。
高校卒業後は秋田県の大学へ進学したのですが、その時も都会ではないところを進学先に選びました。大学卒業後は青森に戻って、実家の建築設計事務所で働きながら、アロマセラピーの学校に通いました。卒業後、セラピストとして仕事をしたくなったのですが、青森ではスキルを高められないと思って、東京のアロマ関係の会社に就職し、2年半勤めました。その後、青森の店舗に転勤することになり、図らずもUターンすることになりました。

—— 東京から戻ってきたとき、青森はどのように見えました?

N:のんびりしていると思いました。
東京では誰もが「しゃかりき」に働いていましたが、青森の人は仕事に対して「もっと良くしよう」という思いがあまり強くないように感じました。駅やスーパーに行っても時間が止まっているように感じて、「本当にこれでいいの?」と思ってしまいました。緊張感がないというか。

——厳しいですね(笑)

N:ポジティブに言えば、純粋。
青森で勤務することになってから、青森でもアロマの良さを知ってもらいたいと思うようになりました。そこで、お店が入っていたビルに立ち寄る方々に、テスターを配って香りを試してもらうことにしました。そうしたら、お年寄り方々の反応がとても良いのです。アロマの魅力をまだ知らない人に、この魅力を伝えることって、とてもおもしろいことだな、と気づきました。青森の無垢な方々に、ピュアに香りを感じてもらえることが、とても嬉しかったのです。

青森らしく、楽しくやりたい

——青森に来た当初、いずれ東京に戻ろうという気持ちはあった?

N:それはありませんでした。一度決めたら、それ以外のことは考えない性格なのです(笑)。それに、青森でお客さんになっていただいた方々もいたので、青森を離れるわけにはいかなかったのです。加えて、「青森をこういう風にしたい」という自分の思いも出てきました。
仕事のことだけ考えると、青森じゃなくてもできる。でも、縁があって青森にいると思うので、「どうせいるなら、楽しくやりたい」と思います。
そう思っていたところで、香料が採れる樹木「くろもじ」の精油に出会いました。青森でも精油を作っていることを知り、「これは使わない手はないな」と思いました。この製油は、浅虫の蒸留所で作っています。
ねぶた祭りの時期は観光客がたくさん来るのに、アロマのお店だと入ってくれないのです。それが悔しくて、くろもじの精油をお土産として売るよう会社に働きかけ、ねぶた時期に合わせて販売することができました。

オイルの小瓶は森につながっている

—— 今後はどのように展開していきたいと考えていますか?

アロマは観光産業やヘルスツーリズムにもつながると思っています。昨年は、アロマのツアーを開催しました。疲労回復に役立つ香りとして古くから活用されている「くろもじ」の蒸留所や生産者を巡り、アロマセラピーや自然療法を知って、心と体をリフレッシュするツアーです。植物は土地からできていますよね。その土地の食べ物、空気、人、すべてセラピーなので、アロマだけではない土地の魅力を感じてもらえるツアーをやってみたのです。実は、アロマセラピスト向けの企画としてやったのですが、実際に参加していただいた方は、セラピストではない方が多かったのです。こういう取組にも需要があると分かったので、継続してやっていきたいですね。
私は、製油の瓶は小さいけども、これが森とつながっているんだ、と常々思っています。県外や国外にいる方でも、製油の香りで青森を感じてもらうことができますよね。この製油を使っていただいた方が青森に興味を持って、実際に来てもらえたら、どんどんヒトやモノの交流につながっていくんじゃないかなと思います。

—— 高校生の自分に今の自分からアドバイスをするとしたら何と言いたいですか?

N:「そのままでいいよ」かな。時間は限られているので、やれるときにやれることをやっておけば…とも思いますが、その時そう言われてできたかどうかはわからない。

—— 今を生きる高校生にメッセージをお願いします

N:セラピストは憧れの職業、きれいな職業として見られることが多いですが、そんなに甘くないよと言いたい。どんな職業も3年くらいやらないとわからないことがたくさんありますよね。最初から自分に合っている職業なんてないと思います。「これじゃない」「今やっていることは違う」と否定的に捉えてばかりいないで、とりあえず3年やってみてほしい。せっかくその仕事に就いたのだから、その仕事を楽しんでほしいですね。地道な充実感を大事にしてほしいな、と思います。

Q1高校生の時になりたかった職業は?

パティシエ。
大学を受けて、落ちたらパティシエの専門学校に行くつもりが、大学が受かったので大学に行きました。

Q2高校生の時にやっておけばよかったことは?

[部活などでの団体行動]仲間を作ったり、基本的な人間関係に慣れておくことは大事だと思いました。
[勉強]学歴が全てではないが、大人になってから出会った、知的好奇心が刺激されるような楽しい人は高学歴なことが多い。そんな環境に身を置くことでまた違った自分になっていたかも。

Q3あなたが影響を受けたヒト・コト・モノは?

[ヒト]自営業を営む、父親と母親(よくも悪くも、自分の土台です)[コト]東京で暮らしたこと(青森をより客観的に見られるようになったと思います)
[モノ]オレンジスウィートの香り(この香りがきっかけで、アロマセラピストになりました)

Q4仕事でいちばんうれしかったことは?

サロンのお客様があおもりアロマ活動を応援してくださること。課外活動(?)なので、お客様に迷惑をかけてしまうとばかり思っていたが、その応援が後押しになって様々な活動ができています。

Q5仕事でやらかした一番の失敗談を教えてください

たくさんやらかしすぎて、答えられない。
めげないことが大事だと思っています。

Q6仕事をはかどらせるための潤滑油は何?

[香り]
今日はちょっと気が乗らないなぁ、という日にはスッキリした香りをガツンと室内に香らせます。
[人と話をする]
特に頑張っている人の話を聞くともっと頑張らなくてはと思います。

Q7今後の野望をおしえてください

青森県中をあおもりアロマでいっぱいにしたい。
県庁、ホテルや旅館、タクシー、電車、医療福祉施設、フィットネスクラブなどなど。
それに伴って、ヘルスツーリズムなどの新産業創造が促進されたり、県内でアロマセラピストに就く方もどんどん増えて行って欲しいと思っています。

Q8生まれ変わったら、なりたい職業は?(今の職業以外で)

およめさん。
今は、仕事一辺倒の生活なので、全く想像がつかない世界ですが、めっちゃ憧れます。

Q9最近のニュースをどうぞ!

うみねこマラソンに仲間と出ることになりました!
仕事も遊びもバランスよく楽しみたいと思います。

プロフィール

根井 朋子(ねい ともこ)

1980 年生まれ/ アロマセラピスト/ 高校卒業後、秋田県内の大学に進学、卒業後、実家の建築事務所に勤務。働きながらアロマセラピストの資格を取得し、首都圏のアロマ関連企業に就職。2年半の首都圏勤務の後、青森の店舗に転勤。2013年5月に個人サロン「cave natural therapy」を開業。

メニューを開くメニューを閉じる

ページの先頭に戻る