小さいときは牛が嫌いだった

—— 今の仕事に就いて何年になりますか?

野田頭さん(以下N):大学を卒業して戻ってきたので、22歳で戻り、ちょうど2年になります。

——戻ってくるときに、違う道を選ぶ選択肢もあったと思いますが、小さいときから酪農を営む環境で育ったので、あまり違和感はなかったのでしょうか?

N:正直言って、小さいときは牛が嫌いでしたね。でも、成長するにつれて、牛のことを勉強するのもいいかなと思い始めて、高校、大学と牛のことを勉強してきました。

—— いつ頃からそう思い始めましたか?

N: 現在の牛舎を建てたのが中学校の時ですが、その時に、ロボットやその他の機械を導入する話などがいろいろありました。自分は、機械関係が好きだったし、実家の酪農経営にも関連があるので、ロボットのことを勉強して、それに関連する仕事に就くのもいいかな、と思った事もありました。

—— 現在もロボットを導入しているのですか?

N:あります。牛1頭ごとに与えるエサの量をコントロールするロボットと、搾乳のロボットです。エサやりも機械で行います。

—— 牛の世話は何人でしていますか?

N:今は4人で世話をしています。4 人で200頭の世話をするのは、正直言って大変なところもありますが、逆にやりがいも感じています。

牛はちゃんと返してくれる

—— どんなところにやりがいを感じるのでしょう?

N:昨年、家畜人工授精師の資格をとりました。自分が人工授精させた牛がお産する瞬間に立ち会うことができたのは新鮮な経験でしたし、大きなやりがいを感じました。

—— 2年間仕事をしてみて、自分なりに「将来こうしたい」という想いが出てきましたか?

N:仕事のロボット化をもっと進めたいと考えるようになってきました。例えば、搾乳なども、自動搾乳ロボットを使う事で、余裕を持った仕事にしていくことができます。このような取組が進めば、将来的には酪農もサラリーマンに近い働き方や勤務形態になっていくのではないかと思っています。近隣の酪農家では、ロボット化によって、既にそのような経営をされている方もいます。私が知る限りでは、経営の規模にかかわらず、作業のロボット化は進んでいます。一方で、自分で搾乳したいと手絞りにこだわっている方もいます。ここは人によって考え方が分かれるところです。

—— 酪農の仕事の魅力を簡単に表現すると?

N:生き物が相手の仕事なので躊躇するかもしれないけど、初めての人でもやれると思います。牛は手をかけた分、ちゃんと返してくれます。

—— それは牛乳で?

N:牛乳もそうですが、お産でも大きな感動をもらったり、子牛という形で返してくれたりと、本当に様々な形で返してくれます。

酪農は世界とつながっている

—— 酪農に詳しくない人にとっては、酪農の仕事でちゃんと生活できるのか不安な人も多いと思いますが、実際はどうですか?

N:その人のやり方しだいだと思います。自分もまだ帰ってきて2年目なので全てを知っているわけでもないですが、うまくやっている人はちゃんと儲かっている。それに、牛はちゃんと返してくれますから、大丈夫です。

—— これほど大きな牛舎を備えて200頭もの牛を飼っている事自体が、ちゃんとやっていける仕事である事の証ですよね。

N:ただ、牛のエサになる飼料の価格変動に左右される側面があります。意外かもしれませんが、穀物価格や為替など、世界経済の状況と密接に関連しています。私のところでは、この影響を少しでも和らげようと、ホール・クロップ・サイレージ(発酵粗飼料)を使うなどの工夫もしています。このほか、デントコーンなども取り入れてみたいと考えています。

——話は変わりますが、ペットに名前をつけるように、牛にも名前をつけていますか?

N:名前がついている牛もいます。そういう牛には、やはり愛着がわきます。搾乳の時も、自分のお気に入りの牛が来ると、一生懸命世話をしたりします。そうすると、やっぱりちゃんと返してくれるのです。生き物と付き合っていくのは難しい事や悲しい事もたくさんありますが、それを上回る喜びがあると実感しています。

—— 酪農をやってみたい人はどうすればいいのでしょうか?

N:営農大学校のようなところで勉強してから就農する方法や、農業高校を通して酪農家にお願いして仕事を体験し、自分に合っているかどうかを確かめる方法もあります。実際、そういう人も結構います。

——ご結婚は?

N:これからです(笑)いい出会いがあればいいのですが、仕事以外の時は家にいることが多いので、なかなか出会うきっかけがないですね。結婚する人になるべく苦労をさせない為にも、ロボット化などを進めて、余裕をもって仕事ができるような経営体制に移行していきたいと思っています。

—— 最後に、高校生へのメッセージをお願いします。

N:牛の仕事は大変なところもありますが、愛情をたくさん注げば、懐いてくれたり、牛乳で返してくれたり、お産で大きな喜びを与えてくれたりしてくれます。牛のことを全く知らない人でもやればできる仕事だと思いますので、ぜひチャレンジしてください。

Q1高校生の時になりたかった職業は?

もちろん酪農です。

Q2高校生の時にやっておけばよかったことは?

酪農研修(県外)

Q3あなたが影響を受けたヒト・コト・モノは?

搾乳ロボットによる機械化ですね。

Q4仕事でいちばんうれしかったことは?

家畜人工授精師の資格を使って「生命」の誕生を自らの手で生み出すことです。

Q5仕事でやらかした一番の失敗談を教えてください

牛のお産に立ち合えなかった事ですかね。

Q6仕事をはかどらせるための潤滑油は何?

目標、夢などを追い続けることです。

Q7今後の野望をおしえてください

酪農は365日休みがないという人が多いと思うんですが、機械化が進みロボットによる経営になってきているので、「ゆとり」ある酪農の経営を目指しています。

Q8生まれ変わったら、なりたい職業は?(今の職業以外で)

農業機械メーカー

Q9最近のニュースをどうぞ!

トラクターに乗っている夢を見ました。

プロフィール

野田頭 洸亜(のだがしら ひろつぐ)

24歳/ 酪農家/ 三本木農業高校→酪農学園大学→実家で就農/
(有)ビッグファミリー

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